[原子力産業新聞] 2006年4月28日 第2329号 <3面>

深地層処分か長期貯蔵か 仏世論は二分

フランスで11日に発表された世論調査結果によると、放射性廃棄物の処分方法をめぐり世論は二分していることが明らかになった。

この調査はフランスの世論調査機関BVAが2005年11〜12月、放射線防護・原子力安全研究所(ISRN)の委託で1,047人を対象に実施したもの。それによると、長寿命の中レベル廃棄物と高レベル廃棄物の処分方法として、42%が「深地層処分」を支持したのに対し、46%が「将来回収可能な長期貯蔵」を支持し、世論を二分する結果となった。

フランスでは、放射性廃棄物は放射能レベルに応じて、@極低レベル廃棄物A低レベル廃棄物B中レベル廃棄物C高レベル廃棄物――に4分類される。さらにこれらが、短寿命廃棄物(半減期が30年未満)と長寿命廃棄物(30年以上)に区別される。

フランスは従来、長寿命の中レベル廃棄物と高レベル廃棄物は深地層処分する方針で、1987〜1989年にかけて処分場候補地点4カ所を選定した。しかしサイト調査を開始した段階で、反対派と衝突したため、政府は1990年に処分場立地を中止し、1991年に放射性廃棄物管理研究法を制定。@分離・変換A地層処分B長期貯蔵――の3分野について検討を進め、2006年に最終的な処分方法を決定するとした。

政府は今年3月22日、@長寿命の中レベル廃棄物と高レベル廃棄物は深地層処分を原則A2015年までに地下処分場の許認可手続きを完了――などを盛り込んだ放射性廃棄物政策法案を発表し、議会へ提出した。


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