[原子力産業新聞] 2006年5月11日 第2330号 <2面>

【第39回原産年次大会】 西澤原産協会長の所信表明 「技術と社会つなぐ」 新協会発足で全力

この4月1日に日本原子力産業会議を改組して、新しく「日本原子力産業協会」として生まれ変わった。

今回の原産年次大会は、原産協会としては最初の開催。エネルギー・環境の中で原子力がどうあるべきかという観点で国内外の方々と意見を交わすという本質的な意義については、従来にも増して重要なものになったと考えている。

先月、科学技術創造立国として今後5年間の研究開発投資目標に総額25兆円を設定した第3期科学技術基本計画が閣議決定された。エネルギーが「推進4分野」の1つに指定され、高速増殖炉サイクルが「国家基幹技術」に選定された。国が、エネルギーの中でも原子力の重要性を認識し、その技術確立に安定的な研究開発費をつぎ込むということは、原子力関係者には努力のし甲斐がある。

ところで、原子力について国民はどう見ているのだろうか。ここ10年間の幾つかの不祥事により、原子力に不安をもつ人々が増えたかもしれないが、その一方で、地球温暖化問題とエネルギー安定確保の点より、原子力は、日本にとっては、必要であると考える人々が過半数を占めるようになっている。しかしながら、それは原子力への技術およびマネージメントに対する信頼如何にかかっており、特に原子力に従事する管理者から設計者、運転保守員など現場関係者の使命と責任、そして倫理が一層強く求められることになる。

技術と社会の良好な関係を築きつつ、原子力が、本当に責任を果たしたと誰もが認める社会につなげていきたい。

本日は、旧ソ連のウクライナ共和国で原子力史上最悪のチェルノブイリ原子力発電所の事故が起きてからちょうど20年。犠牲になられた方々に心から追悼の意を表し、世界各国から原子力関係者が一堂に会する会場の皆様と共に、このような事故を二度と起こさない、と改めて決意したいと思う。


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