[原子力産業新聞] 2006年5月11日 第2330号 <3面>

【第39回原産年次大会 特別講演 原子力ルネッサンス 各国の連携がカギ】
 谷口 富裕 IAEA事務次長 原子力再活性化へのIAEAの使命

原子力の国際社会と国際原子力機関(IAEA)にとっての課題として@グローバリゼーションと反グローバリゼーションA持続可能な開発(エネルギーの安定供給)B地球温暖化対策、が挙げられる。こうした状況の中で原子力ルネッサンスには大きな期待が寄せられている。

世界の平和と持続可能な開発の実現には、世界全体がビジョンと責務(コミットメント)を共有することが不可欠であり、平和利用を目的とした安全かつセキュリティの高い原子力技術利用に対し、IAEAが共通のビジョンと責務を収束させる役割を担っていくことになる。

IAEAは「原子力技術」、「安全・セキュリティ」、「保障措置」を3本柱として掲げており、それらに対応するためにはトータルでのアプローチが必要だ。原子力発電開発において世界は運命共同体であり、一つでも深刻な原子力事故が起きると、世界全体の原子力ルネッサンスへの機運は確実に損なわれる。

今後、アジア地域が原子力ルネッサンスをリードすることになるだろうが、日本には目に見える形で政治的なリーダーシップを発揮し、新たな国際的枠組みや取り決めのために積極的に尽力して欲しい。


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