[原子力産業新聞] 2006年5月11日 第2330号 <3面>

【第39回原産年次大会 特別講演 原子力ルネッサンス 各国の連携がカギ】
 A.ハワード NEI副理事長 米国の原子力ルネッサンス

米国では過去十数年、電力事業の将来に対する不確実性が設備投資の足を引っ張り、ベースロード電源となる原子力と石炭火力の新設は1,500万kWに留まり、その一方で供給安定性の保障されていないガス火力は2億7,500万kWも拡大してしまった。その結果米国は、電力事業の骨格を形成するベースロード電源が不足し、天然ガス価格の高騰もあいまって、危機的状況に立たされている。

こうした中、米国の原子力発電所は好調な運転実績(2005年:原子力電力量7,830億kWh、設備利用率89.6%)を記録しており、総発電電力量に占める原子力シェアは過去十年にわたって2割を占めている。原子力発電コストは過去10年で3割低下し、現在ではkWhあたり1.68セントとなり、水力に次いで安価な電源となっている。出力増強は過去5年で250万kWが原子力規制委員会(NRC)により認可され、100万kW以上が申請中。さらに140万kWが申請準備中である。運転期間を延長する動きも活発で、これまでに39基がNRCより認可され、10基が申請中、29基が申請を計画しており、最終的には米国内全103基が運転期間を延長すると思われる。

政府は、原子力発電所新設の支援を盛り込んだエネルギー政策法を制定し、新設に係るコストの80%までを融資保証、1,000kWあたり18ドルの発電税控除(風力発電と同レベルの優遇措置)、許認可手続きの合理化、など新設に向けた経済的支援措置を打ち出している。現在判明しているだけでも、今後20年前後で12〜19基の原子力発電所が運開する見込みだ。断言は出来ないが、初号機の運開は2014〜2015年あたりになるだろう。


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