[原子力産業新聞] 2006年5月18日 第2331号 <1面>

第2再処理用使用済み燃料 引当金積み立てへ 自由化小委 リプレース炉でも積立

経済産業省は15日、東京・港区で総合資源エネルギー調査会の「電力自由化と原子力に関する小委員会」を開催した。経産省は、六ヶ所再処理工場で再処理される以外の使用済み燃料についても暫定的な引当金を積み立て、また新規原子力発電所の初期投資額の一部を、あらかじめ引当金として積み立てるなど、電力自由化環境で原子力発電を着実に推進する新規方策を「小委員会とりまとめ」案として提示。委員からは概ね、評価する意見が出された。「とりまとめ」は5月30日の原子力部会に報告される。

原子力政策大綱に掲げられた「2030年以降も原子力シェア30〜40%以上」の目標を実現するため、経産省は、2017年度までに13基の新増設を掲げる2006年度供給計画を実現する必要があると強調。実現した場合、稼働率77%、90%での2030年の原子力シェアは、それぞれ35%、41%となる。一方、新規建設が順調に進んだ場合でも、2030年頃からのリプレースが順調に行われない場合、その後10年以内に政策目標を下回る可能性を警告した。

この目標実現のためには、@原子力発電に特有な投資リスクの低減・分散A初期投資・廃炉負担の軽減・平準化B広域的運営の促進C原子力のメリットの可視化――が必要と整理。

原子力政策大綱において国内での全量再処理の基本方針が確認されたことから、現在引き当てが行われていない、六ヶ所工場で再処理される以外の使用済み燃料についても、「将来費用が発生することが確実」になった。投資リスクの低減・分散のため、「暫定的な措置」として、毎年度引当金を積み立てる制度を、2006年度決算からの導入を目指し、電気事業分科会の下で検討を行う。

初期投資の平準化については、2030年頃から大量のリプレース発注が集中し、電力会社に巨額の減価償却費が短期間に集中することを緩和するため、「あらかじめ初期投資額の一部を引当金として積み立て、運転開始後の減価償却費負担を平準化できる制度」の導入を提案。これも2006年度決算からの導入を目指す。


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