[原子力産業新聞] 2006年5月18日 第2331号 <2面>

第39回原産年次大会 学生セッション 産業界若手と意見交換
「学生連絡会主催 原子力産業への期待――若い世代から」
学生連絡会 羽倉尚人(武蔵工大)岡本将典(神戸大)

▽初の試み

4月27日、第39回原産年次大会の2日目にあたるこの日に、初の試みである学生セッション(主催=日本原子力学会・学生連絡会、協力=日本原子力産業協会)は開催された。本企画は、同連絡会と原子力産業界のシニアの方々との対話の中で、学生が原子力産業界に触れる機会をもっと増やすべきではないか、という提案をきっかけに、実現することとなった。初めての試みにもかかわらず、北海道から九州まで13大学40余名の学生が参加し、会場全体としては100名を超える方々に参加いただいた。

セッション開催の趣旨として、近年原子力ルネッサンスと言われ、原子力推進に向け大きな流れが起こっている中で、学生・若手がこの現状をどのように捉えているか、学生にとってもルネッサンスを感じることができているかについて、若手技術者の方々と意見交換をし、また、原子力産業界に対して若い世代の意見を届けることが目的であると説明した。

今回は若手技術者として アトックスの上原大助氏、東京電力の富田邦裕氏、三菱重工業の野田貴史氏、日本原子力研究開発機構の矢野公彦氏に参加いただいた。

▽パネリストの講演

議論を始める前に、若手の皆さんから講演していただいた。分野の異なる4名それぞれから共通した指摘を頂いたことは非常に印象的であった。それは、現在の仕事にやりがいをもって取り組んでいること、仕事を進める上ではコミュニケーション能力が特に重要であることなどであった。これらのことは極当然のことのように思われるが、こうした言葉を直接若手の皆さんから伺えたことは、学生の意欲向上につながった。一方、近年、研究開発の分野で若い研究者の新規採用の少ないことが指摘され、ルネッサンスに対応する上での懸念が示された。

▽ディスカッション

学生から「各企業、研究所機構は原子力に対する国民の理解を得るために、どのような活動を行っているか」という質問が挙げられた。これに対し電力会社等では原子力の信頼回復のため、思い切った情報公開に踏み切っていることなどの回答がなされた。また、逆に学生の立場から、一般の人々に対し、原子力の必要性をアピールすることも必要ではないかというご提案を頂いた。他にも数多くの質問が投げかけられ、会場は熱気に包まれた。

▽今後への期待

セッション終了後に学生に対して行ったアンケートでは、「現場での話や熱意が聞けて大変有意義であった」、「将来のビジョンが明確になった」、「就職に意欲がわいた」といった感想が聞かれた。一方で、「時間が短い」、「ディスカッションの論点を明確にすべき」といった意見も出され、これらは今後の課題として受け止めている。

学生および若手の生の声を産業界に伝えることを目標としてきたが、学生から活発に意見が挙げられたことは、本セッションが有意義なものであったと言えるのではないだろうか。ぜひ今後もこうした企画に対し、支援をいただきたい。


Copyright (C) 2006 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.