[原子力産業新聞] 2006年5月25日 第2332号 <4面>

放射線治療推進で安倍官房長官に がん患者らが要望 不足する認識、専門家養成も

東京大学・附属病院放射線科の中川恵一助教授は22日までに、安倍晋三官房長官ほか関係行政庁を訪れ、がん患者市民団体を含む約5万人分の署名を提出し、放射線治療推進に向けた施策の充実を訴えた。

今回要望では、「10年後にはがん患者の約半数が放射線治療を受ける」と見通す一方、「治療に関する十分な理解が広がっているとは言い難い」とした上で、患者の立場に立った公正な治療情報の開示、放射線治療、緩和ケアの普及に向けた教育現場の拡充などを求めている。

中川助教授は、先月28日に安倍官房長官、今月15日に文部科学省の石川明高等教育局長、22日に厚生労働省の赤松正雄副大臣を訪れ、がん患者らの声とともに対がん政策促進に向けた法整備、放射線治療推進を目指す人材強化等を訴えた。

専門誌の調査によると、全がん患者に対する放射線治療の割合は01年時点で、米国での60%に対して、日本では近年装置の普及に伴い増加傾向にあるものの18%とかなり低い水準にとどまっており、医学物理士の不足がこの一因であることが学会等でも指摘されている。


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