[原子力産業新聞] 2006年5月25日 第2332号 <4面>

放医研が新装置 HIMACの普及に見通し

放射線医学総合研究所はこのほど、普及型重粒子線がん治療装置(HIMAC)に必要な高効率小型入射器の総合試験に成功し、同装置の基本技術を確立した。

同入射器は永久磁石型ECRイオン源、小型RFQリニアック、新型DTL(ドリフトチューブ・リニアック)で構成。現装置の入射器は約32mだが、普及型は6mと小型で、低コスト化や省電力化も実現する。昨年までにイオン源とRFQリニアックは性能を確認していたが、今回DTLを開発。入射器としての総合試験を実施し、核子あたり4MeVと治療装置に必要なビーム強度と品質を確認した。

新型DTLはAFP方式IH型と呼ぶ構成。高周波電場によりイオンの加速と収束を同時に行うAPF方式とドリフトチューブを上下交互に取り付けるIH型を組み合わせた。同方式によるビーム加速試験は世界でも初めて。APFの原理を実証したという点で、加速器科学の面からも注目されるとしている。

新型入射器を使用した普及型HIMACは占有スペース50×60m、製作コスト百数十億円とスペース、コストともに現HIMACの約3分の1とする。


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