[原子力産業新聞] 2006年6月1日 第2333号 <3面>

原子力発電導入の可能性を示唆 オーストラリア首相

原子力発電導入の議論が浮上しているオーストラリアで、ハワード首相は5月19日、訪問先のカナダで記者会見し、最重要課題のエネルギー政策について「あらゆるオプションを除外せずに検討する」と原子力発電導入の可能性を示唆した。

首相は、化石燃料の急騰や環境面などの制約から、同国のこれまでのエネルギー政策を変更する必要があるとし、原子力発電が鍵を握ることになると明言。今後、原子力発電導入の可能性を探る討議を実施するとの考えを示した。

オーストラリアは世界有数のウラン生産国だが原子力発電は行っていない。しかし近年の燃料価格の高騰や地球温暖化対策などの意識の高まりから、クリーンな原子力が注目を集めている。

政府の政策決定に大きな影響力を持つ豪商工会議所は昨年8月、国内のエネルギー需要をまかなうための手段として原子力発電の導入を真剣に検討するよう連邦政府に要請。また、ネルソン教育・科学・訓練相とマクファーレン産業・観光・資源相の2閣僚が昨年11月、原子力発電の導入に関して地質・環境・社会科学的な側面から調査を実施するようハワード首相に要請していた。


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