[原子力産業新聞] 2006年6月15日 第2335号 <1面>

香辛料への適用検討を 食品照射の有用性を強調 原子力委・部会が骨子案

原子力委員会の食品照射専門部会(部会長=多田幹郎・中国学園大学教授)は7日、第7回会合を開催、香辛料への適用を検討すべき意義があり、他の食品も世界動向を見ながら検討を進めるべき、とする報告書の骨子案を取りまとめた。今月28日開催の次会合では、報告書の審議に入る。

同案はこれまでの部会での議論、ご意見を聴く会での意見などを踏まえ、部会として食品照射に対する見解の方向性を示したもの。照射食品の健全性の見通し、有用性(必要性)、照射施設の安全性、食品照射の具体化の要件などの各事項についてまとめた。

健全性では、個別の懸念事項への見解、国内外の研究成果や国際的評価などを示した上で、「科学的な見地から総合的に判断して、健全性は一定の見通しがある」との考え方を示した。有用性では、「世界的にそれが認められ、中でも香辛料は実績を積み重ね、我が国においても検討すべき意義がある。他の食品への適用についても今後の世界動向を見つつ、検討を進めるべきではないか」としている。

照射施設の安全性では、周辺環境に影響を及ぼす恐れのないものとして建設・運転しうると言えるとした。

食品照射の具体化に向けた要件では、香辛料は今後、食品衛生法及び食品安全基本法に基づく評価・検討が行われることを期待するとし、行政検査の実用化のためには、放射線照射がされているかどうかの検知技術への取組みが重要と指摘。現在、義務付けられている表示は今後も必要であり、消費者の選択という観点から、リスク管理機関で総合的に検討されることが期待されるとしている。

また食品照射技術は必ずしも国民全般に知られていない状況であり、積極的な広聴・広報の努力が必要と提起した。


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