[原子力産業新聞] 2006年6月15日 第2335号 <1面>

高経年化策など要請 原子力委 福島で「意見聴く会」

原子力委員会は9日、福島県福島市で「原子力安全行政に係る施策に関する評価についてご意見を聴く会」を開催(=写真)した。約130名が参加、会場からは高経年プラントの安全対策や地震対策の強化に対する要請などとともに、国と自治体との関係の明確化を求める意見も出された。

聴く会は、第1部の有識者からの意見聴取と第2部の会場からの意見聴取の2部で構成。1部では今田幸子・労働政策研究・研修機構統括研究員、角山茂章・会津大学学長、宮健三・法政大院客員教授がそれぞれ提言した。

今田氏は、雇用形態の多様化が進むなか各雇用者がキャリア形成できる仕組み作りが安全確保の上でも重要と指摘。角山氏は、現場を知り全体を統括できる専門家がいなくなっており人材の維持基準が必要ではないかと述べた。また宮氏は規制当局、事業者、自治体の各課題について解説するとともに、保安院は自治体・地元とのリスクコミュニケーションに十分成功しておらず、信頼関係構築のためには実践方法に工夫が必要、事業者は萎縮せず誇りを持って安全確保に努めるべきと指摘した。

会場からは、予め登録した12名が発言。「高経年プラントの運転は慎重であるべきで、出来るだけ早期のリプレースが必要」、「地震対策と高経年化対策を充実し、保安院は独立した規制機関になるべき」、「万一に備えた避難路の整備やテロ対策の充実が必要」、「安全性について国と県との意見相違があり、この相違が地元の不安に繋がる。国と自治体は十分に意見交換し、しっかりした対応を」、「宮城沖地震では一部の地震波が設計基準を超えたが、既設炉の地震対策を万全に」、「発電所の隣接地域に対する施策を充実すべき」、「現場の改善努力を安全確保の仕組みにどう取り入れるかが重要、エネルギー確保の観点からプルサーマルの早期実施を望む」、「廃炉の安全対策について地元に説明すべき時期ではないか」、「プルサーマルはリスクの割にメリットが少ない」、「今後も発電所との共存共栄を望む。マスコミは小さいトラブルまで報道する必要はなく、報道するならキチッとした説明を」、「定検間隔の延長には不安があり、国は検査制度の変更について丁寧な説明を」など、様々な意見が出された。


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