[原子力産業新聞] 2006年6月15日 第2335号 <3面>

「来年末にBNFL解散」 M.パーカーCEOが会見 今秋にも運転再開 再処理工場THORP

来日中の英原子燃料会社(BNFL)のM.パーカーCEO(=写真)は7日、都内で記者会見を開き、BNFLグループの組織再編や今後の事業展開について説明。来年末にBNFL本部を解散すると述べた。

BNFLグループは現在、@ウェスチングハウス社(WH)、Aブリティッシュ・ニュークリア・グループ(BNG)、Bネクシア・ソリューションズ社――の3部門で構成。すでにWHは今年2月に東芝への売却が決定しており、BNGも来年4月より売却手続きの開始を予定している。BNFLは研究開発部門のネクシア・ソリューションズ社も、期日は未定ながらも、政府が新設を検討している原子力研究機関へ移管、来年末までにBNFLの本部機能を解散する方針だ。

英国政府は、与野党の別を問わず「すべてを市場の競争原理に委ねる」方針を掲げており、原子力分野もその例外ではない。原子力ルネッサンスにより今後ビジネスチャンスの拡大が予想されるWHを容易に売却したのも、「WHが最高値で売れる好機」と考えたからだ。また膨大な原子力債務を抱える英国では、納税者である国民のために政府が、@資産を持たないA海外原子力案件でのリスクマネージメントを行わない――等の方針を貫いている。パーカー氏は、「過去5年間で本部の人員を500名から55名に削減した。国有企業BNFLの解散は、納税者のためにも正しいことだと考えている」と語った。

またパーカー氏は、昨年4月に判明した硝酸溶液漏洩以来運転を停止している新酸化物燃料再処理工場(THORP)について、「早ければ今秋にも操業再開が可能」との見通しを示した。現在は英原子力施設検査局(NII)が要求する49項目の改善点のうち、残る数項目を処理している段階とのことだ。もっともTHORPの運転再開のためには、所有者である原子力廃止措置機関(NDA)の運転再開決定および、NIIの許認可が必要だ。

一方、THORPと並んで収入の見込めるセラフィールドMOX工場(SMP)についてパーカー氏は、「SMPは試験操業段階だが、実際にSMPで製造したMOX燃料を使用しているスイスNOK社からは『良好』とのレビューを頂いている」とし、好調な稼働状況を強調した。NOK社向けMOX燃料は昨年6月に4体、今年4月に4体納入され、年内に残る8体も納入予定。BNGはほかにも、スウェーデンのOKG社(2001年)、独E・ON社(2002年)、独EnKK社(2006年)などと、MOX燃料供給契約を締結している。


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