[原子力産業新聞] 2006年7月6日 第2338号 <3面>

英国 許認可手続きを簡素化 英保健安全執行部が2段階方式提案 設計認証では海外の知見も活用

英国の原子力規制当局である保健安全執行部(HSE)は6月28日、原子力発電所の新規建設に向け、2段階の事前認可制度の策定を盛り込んだ意見書を政府に提出した。英国では原子力発電所のリードタイムが長期に渡り、事業者が新規建設を決断する際の足かせとなっている。

HSEはこうした反省から、許認可手続きを、@原子炉設計の認証Aサイトや運転者を特定した上でのサイト許認可――の2段階に分けることを提案。リードタイムの短縮により、新規原子力発電所の建設促進をねらっている。

英国の原子力施設法(1959年制定、1965年修正)では、原子力発電所の新規建設にあたっては、HSEの原子力施設検査局(NII)が採用炉型の設計、建設予定サイトの特性、申請者の運営体制を審査した上で、新規建設に必要なサイト許可を与えることになっている。HSEは、今後もこうした規制体系は根本的に変わらないとしながらも、英国で最後に建設されたサイズウェルB原子力発電所のケースに言及。許認可申請(1973年)から営業運転の開始(1995年)まで22年間、平均して年間150人ものNIIスタッフを同発電所の許認可手続きに浪費したと指摘した。

そのためHSEは、今回新たに2段階の審査・許認可手続きを提案した。これは従来の許認可手続きを、「フェーズT=原子炉の設計認証」、「フェーズU=サイトや運転者を特定した上でのサイト許認可」の2段階に分け、それぞれ3年、6〜12か月の審査期間の目安を設け、許認可手続きの合理性と透明性を高め、申請者のプロジェクト・リスクを減らすのがねらい。特にフェーズTの設計認証段階では、諸外国の規制当局の知見も活用することも視野に入れている。

また意見書の中でHSEは、欧州加圧水型炉(EPR)などの第3世代型炉(あるいは第3世代プラス型炉)の建設を想定。実際にレビューする以前に安全性を保証することは出来ないとしながらも、第3世代型炉は供給者によって年々改良が加えられており、安全性は成熟してきているとの考えを示した。

英国では来週、懸案となっている新しいエネルギー政策が発表されるが、その中で原子力発電所の新規立地方針が打ち出された場合、今回の新許認可手続きが新規立地を加速すると期待する声が高まっている。


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