[原子力産業新聞] 2006年7月13日 第2339号 <1面>

安全委がJMTR改修を提言 重点計画の報告書まとまる

原子力安全委員会の原子力安全研究専門部会(部会長=木村逸郎・原子力安全システム研究所技術システム研究所長)は6日、報告書案「重点安全研究計画に沿った研究課題の取組状況」を取りまとめた。この中で今年度内に停止予定の原子力機構の材料試験炉JMTR(=写真)では改修、活用する必要性を強調した。

同研究計画は、安全委員会が安全規制向上に必要な成果を得るため、05年度から5か年程度を見通し、特に重点的に進めるべきとした研究事項をまとめたもので、規制システム、軽水炉、核燃料サイクル、放射性廃棄物・廃止措置、新型炉、放射線影響、原子力防災の7分野からなる。今回、同専門部会は、各実施機関での研究課題の取組状況等について、成果活用への期待、留意事項を示した。

今後の重点安全研究に関する推進基盤の強化に向け、大学での原子力基礎教育の充実、研究機関の研鑽などとともに、必要な研究施設の維持・整備を図るべきと提起。特に、MOX燃料等の高燃焼度範囲での安全評価技術、材料劣化・高経年化に関する評価手法整備において、照射試験によるデータ取得・実証は不可欠であり、JMTRをその重要な施設とし、重点計画に沿った適確な研究活動に向け改修することを強く訴えている。

JMTRは、原子力機構の中期計画では「老朽化により廃止する施設」と位置付けたが、同機構に設置したJMTR利用検討委員会(委員長=宅間正夫・日本原子力産業会議副会長〈当時〉)が今年3月に、軽水炉の長期利用、産業利用の拡大などのニーズから、「早期にJMTRを更新し再稼働することが適当」との結論を示した。

一方、文部科学省の審議会が最近まとめた研究開発推進方策でも同様の見解が示されており、今後の扱いについては、同省と原子力機構との協議により決定される見通し。JMTRは今月5日から月末までの運転をもって一旦停止することになっている。


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