[原子力産業新聞] 2006年7月13日 第2339号 <3面>

ウレンコから技術移転 仏アレバ、新濃縮プラントを着工へ

仏アレバ社は3日、遠心分離濃縮技術を手掛けるエンリッチメント・テクノロジー社(ETC)株式の半数をウレンコ社から正式に取得した。支払額は5億ユーロ。これによりアレバ社は、遠心分離法を用いたジョルジュ・ベッセU濃縮工場の建設を今夏より開始する。

ETCは、ウレンコ社のガス遠心分離濃縮技術開発・関連機器製造部門で、ETCを通じてアレバ社は念願の遠心分離技術を獲得する。欧州委員会およびフランス・ドイツ・オランダ・英国の各国政府からの承認も、すでに得ている。

アレバ社のジョルジュ・ベッセU濃縮工場は南フランスのトリカスタンに建設される予定で、2009年から部分操業を開始、2017年にはフル操業(7,500トンSWU/年)を開始する計画だ。同じくトリカスタンに立地するジョルジュ・ベッセ濃縮工場(ガス拡散法)の後継プラントとなる。

フランスは1970年代、フランス原子力庁(CEA)が開発したガス拡散技術をもとに、当時のコジェマ社(現アレバ社)が中心となりスペイン、ベルギー、イラン、イタリアと共同出資でユーロディフ社を設立した。同社は1982年からトリカスタンでジョルジュ・ベッセ濃縮工場(1万800トンSWU/年)を操業している。

その一方でCEAは、大量の電力と水を必要とするガス拡散法に代わる新方式として、1980年代はじめからコジェマ社と共同でレーザー濃縮法の開発を行ってきた。

しかしレーザー法は商業ベースでの実用化が見込めないとの結論に達し、ガス遠心分離法に移行する方針を固め、2002年10月、国際的な濃縮会社であるウレンコ社とガス遠心分離技術で協力する覚書を交わしていた。

ウレンコ社は英国、ドイツ、オランダが折半出資する国際企業で、遠心分離法を自主開発。現在は、3つの工場で合計3,950トンSWU/年の濃縮設備を保有している。また英原子燃料会社、オランダUCN社、独E.on社、独RWE社と共同出資でルイジアナ・エナジー・サービシーズ社を設立。2003年12月に、ナショナル・エンリッチメント・ファシリティー(3,000トンSWU/年)の米ニューメキシコ州ユーニスへの建設・運転認可を申請し、先月、米原子力規制委員会から認可を発給されている。


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