[原子力産業新聞] 2006年7月20日 第2340号 <1面>

原子力委員会食品照射部会 最終報告書まとめる 厚労省の対応に注目

原子力委員会の食品照射専門部会は13日、第9回会合を開催、食品照射に有用性がある食品について、食品衛生法や食品安全基本法に基づく検討・評価を進めるべき、とする最終報告書案を取りまとめた。特に香辛料は実用化の意義が高いと強調。今秋以降、厚生労働省や食品安全委員会において香辛料への適用が検討される見通しになってきた。

今会合で示された「食品への放射線照射について(案)」は前会合で審議した素案を一部修正したもの。食品照射は食品衛生の確保や損耗防止に有効な技術の1つであり、健全性の研究成果も蓄積されていると指摘。特に香辛料では具体的な要請があり実用化する意義が高いとしている。

その上で、「有用性が認められる食品への照射について、食品安全行政の観点から妥当性を評価するために、食品衛生法および食品安全基本法に基づく検討・評価が進められることが適切」と提起。具体的には、まず香辛料の検討・評価が妥当であり、その他食品についても産業界のニーズや社会動向を踏まえ有用性が認められる場合には適宜進めることを期待を示した。この際、健全性について不断に知見の集積を図ることが重要で、必要に応じて原子力委員会の方針の下、研究開発が推進されることが望ましいとしている。また、表示は消費者の選択確保の観点から重要であり、必要な検討がなされるべきとし、公定検知法を早期に確立するための取組みも重要とした。

同部会は、今秋には最終報告書を原子力委員会に提出、同委員会は関係省庁に検討を求める見通し。当面、厚生労働省の対応が注目されることになる。


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