[原子力産業新聞] 2006年7月20日 第2340号 <2面>

「FBR実証炉で予算要求」 経産省・柳瀬課長 次世代軽水炉開発も重点

総合エネルギー調査会・原子力部会の報告書(案)「原子力立国計画」が取りまとめられ、パブリックコメント期間中の12日、日本原子力産業協会は、経済産業省の柳瀬唯夫原子力政策課長から直接説明を聞く機会を持った。

その中で、政策を裏付ける予算確保の見通しについて、柳瀬課長は質問に答え、「来年度予算編成は相当難しいものになる。石油と電源開発の2つの特別会計をエネルギー特別会計として一本化しなければならず、法案を今後の国会に提出する。前年度と比較して額の増減を考えるだけでは済まない」と述べた。

その上で、@20年ぶりとなる官民一体での次世代軽水炉開発プロジェクトの推進AFBR実証炉開発に向けた経済産業省として初めての予算要求B大学関係で原子力関連予算の確保――などを行いたいと強調した。

次世代軽水炉開発は、国際競争力のある日本型軽水炉の開発をめざすもので、柳瀬課長はプロジェクト遂行にあたっては、政府の役割の明確化と国内外メーカーなど開発体制の確立が重要と指摘、「政府の一方的な提案はよくないし、公募提案で民間に任せ、政府が何もしないのもよくない」と述べた。その上で同氏は、「世界に通用する軽水炉ができなければ、膨大な国費が無駄になってしまうが、いまの国内規制を前提にしては、世界に受け入れられる炉を作ることは難しいだろう」との考えを示した。以前の軽水炉改良プロジェクトには計600億円の国費が投入された。

米国が原子力発電の拡大と核不拡散の両立をめざして提案している国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)構想については、「共和党政権が代わることがあるかも知れないなど、このまま順調に進むとも考えてはいないが、米国は日本の技術力の高さを高く評価しており、米国の提案をたいへん歓迎している」と語った。

GNEP構想上の燃料供給・引取り国となるパートナーシップ国は、米仏英露中の5核兵器国と非核兵器国の日本、それに核不拡散条約(NPT)に加盟していないインドなどが想定されており、柳瀬課長は「日本は非核兵器国として唯一リサイクルを認められている国であり、それはただ認められた訳ではなく、先人の多くの努力があったからだ」と継続性を保ってきた日本の原子力政策を振り返った。また、同構想を実現化させていくためには、国際的枠組みの構築と米議会で関連予算を承認してもらうことが重要とした。


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