[原子力産業新聞] 2006年7月20日 第2340号 <3面>

オルキルオト3号機、建設大幅遅れ フィンランド 運開は2010年に

フィンランドのテオリスーデン・ボイマ社(TVO)は11日、オルキルオト3号機(PWR、170万kW)の運開時期を、当初予定の2009年から2010年に延期すると発表した。詳細設計の詰めや、建設作業の不具合解決に予想以上に手間取っていることに加え、大規模なプロジェクトがこれまで長いこと実施されていなかったことも影響しているという。

建設工事の遅延問題に関しては、フィンランドの安全規制当局である放射線・原子力安全センター(STUK)も翌12日、タスクフォースによる調査報告書を発表した。報告書は「建設スケジュールは遅延しているが安全面での品質は十分に保たれている」と結論している。

その一方で報告書は、遅延の原因として、@供給者(仏アレバ社と独シーメンス社のコンソーシアム)がフィンランドの規制体系に不慣れだったA下請け業者の中には原子力施設に関する経験がない業者も多く、品質管理の改善に時間がかかったB多くの下請け業者が土建作業に参加しているが、作業全体を統括するアレバ社の責任者がサイトに常駐していなかった――などを指摘した。

報告書はアレバ社に対し是正を勧告。また発注者のTVOに対しても「ターン・キー契約(完成品受け渡し方式)であろうと最終的な安全責任はTVOにあるため、すべてのプロジェクト関係者と緊密な連携をとること」を勧告している。

オルキルオト3号機は世界初の欧州加圧水型炉(EPR)で、昨年8月に着工された。アレバ社が原子炉系統を、シーメンス社がタービン系統を供給する。総工費は約30億ユーロ。


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