[原子力産業新聞] 2006年7月20日 第2340号 <4面>

IHI フジクラ 世界初の大線量耐放射線ケーブル開発 大強度陽子加速器での適用が期待

石川島播磨重工とフジクラはこのほど、日本原子力研究開発機構の指導のもと、10MGyの大線量に耐えられる耐放射線ケーブルを世界で初めて開発した。

このケーブルは、高耐放射線性のPEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン=高性能熱可塑性プラスチック)を絶縁材に使用。

原子力機構が建設中のJ─PARC(大強度陽子加速器施設)では法令上の許容線量1mSvの約100億倍にあたる10MGyに耐えうるケーブルを必要とする箇所もある。こうした条件下では従来、ケーブル被覆の硬化や割れが発生する可能性があったが、新ケーブルは施設の運転期間中も取替えることなく使用できる見通しという。

新ケーブルはステンレス線編組のがい装を施した構造としており、電力用や信号用として使用される予定。フジクラが製造し、原子力・放射線関連施設向けなどに年間数億円の販売を計画している。

この開発においては、原子力機構の高崎量子応用研究所の協力を得て、ガンマ線照射施設で各種試験を実施、耐放射線性を実証。特に放射線による樹脂分解で難燃性の劣化が懸念されたが、試験によりこの保持を確認した。


Copyright (C) 2006 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.