[原子力産業新聞] 2006年8月10日 第2343号 <1面>

原子力部会 原子力立国計画 具体策と実施時期示す アクションプランを了承

経済産業省は8日午後、当面の最終回となる総合資源エネルギー調査会・原子力部会の第13回会合を開いた。パブリック・コメントを取り入れた同部会報告書「原子力立国計画」を報告するとともに、同計画を実現するための政府側の具体的な施策と実施時期を盛り込んだ「アクションプラン」を発表、同部会はこれらを了承した。

「アクションプラン」は、@電力自由化時代の原子力発電の新増設とリプレース投資の実現A既設原子力発電所の適切な活用B核燃料サイクルの推進と関連産業の戦略的強化CFBRサイクルの早期実用化D技術・産業・人材の厚みの確保E原子力産業の国際展開支援F原子力発電拡大と核不拡散の両立に向けた国際的な枠組み作りへの積極的関与G原子力と国民・地域社会との共生H放射性廃棄物対策の着実な推進――の各課題について、具体的な施策とその実施時期を述べたもの。

電力自由化時代に新増設・リプレースを進めるためには投資リスクの低減が必要。このため六ヶ所で再処理される以外の使用済み燃料も引当金を積み立てる制度、および新・増設炉の初期投資額の一部を引当金として積み立てる制度を、今年度決算からの導入に向け、9月上旬開催の電気事業分科会で議論する。

既設炉の活用に必要な、より実効性の高い検査については、個々のプラント特性や事業者の管理体制に対応した検査や、供用中検査などを、2008年度の見直しに向けて準備を行う。

燃料サイクルの推進に向けて、日本原燃での新型遠心分離機の技術支援へ、今年度に26億円の予算補助を実施。また、「資源獲得競争に負けない」ウラン資源確保のため、民間企業の探鉱・権益取得に対して、石油天然ガス・金属鉱物資源機構がリスクマネーを供給、2007年度に予算措置を検討する。

FBRサイクルは早期実用化に向け実証・実用化への円滑な移行を図るため、関係機関による「五者協議会」を7月にすでに設置・開催。今後、技術的課題を話し合うため、学識者も交えた研究会を8月下旬に発足。不足が懸念されるFBR技術開発予算も07年度予算要求で、文科省と協力し両省で全力を挙げて予算確保に「特段の取組み」を行うとしている。

約20年ぶりのナショナル・プロジェクトとなる「日本型次世代軽水炉開発」については、今来年度でフィージビリティ・スタディ(FS)を実施し、ビジョンを共有するとともに、焦点を絞った中長期的な技術開発戦略を構築する。国の支援のもと、メーカーを主体とし、電力はユーザーとしての要求事項を提供する。FSの結果、世界市場で競争できる炉のコンセプトと開発体制が出来上がれば、その後7〜8年かけて本格的な開発段階に移行する。

最後にエネ庁の望月晴文長官は、「私の役目は報告をきちんと迅速に実現すること」と挨拶、アクションプランの早期実現に強い意欲を示した。


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