[原子力産業新聞] 2006年8月10日 第2343号 <3面>

規制当局「発電所の対応は適切」 フォルスマルク1号機のスクラム事象

スウェーデンのフォルスマルク1号機(BWR、104万9,000kW)で起きた外部電源喪失によるスクラムについて、規制当局である原子力発電検査局(SKI)は3日、予備的な調査報告書を発表、「(運転者である)フォルスマルク発電会社(FKA)の状況判断と対応は、現時点では適切と考えられる」と結論した。

今回のスクラムは国際原子力事象評価尺度(INES)で暫定的に『レベル2』(異常事象)に分類された。同機の運転再開時期については、SKIが判断する。

スクラムが発生したのは先月25日。1号機の機器に電力を供給する電源が喪失し、タービンがトリップ、原子炉も緊急停止した。そのため非常用炉心冷却装置(ECCS)や逃がし安全弁が作動し、炉内圧力および水位が低下。一方、外部電源喪失時に自動的に起動する4基のディーゼル発電機のうち2基に接続する無停電電源装置(UPS)が、電圧の過渡現象によってインバーターや整流器がトリップしたことにより、作動しなかった。そのため部分的な停電状態となり、一部のデータが中央制御室の画面上に表示されず、炉内の状況が正確には確認できない状態が続いた。

その後、スクラム発生から23分後に、運転員が2基のディーゼル発電機の問題を手動で解決し、1号機は安定状態に。ECCSも停止した。

SKIは外部電源喪失の原因を「スベンスカ・クラフトナット社(SVK、スウェーデンの系統運用者)が調査中」としながらも、当時、送電系統の電圧が不安定であったことを指摘している。

またUPS(独AEG社製)が作動しなかったことについてSKIは、「不適切な設計が原因」としたFKAの見解に同意。同じUPSを導入しているフォルスマルク2号機などの点検を指示した。

一部報道で1号機が炉心溶融に発展する可能性があったと指摘されていることに対しSKIのスポークスマンは、「ECCSは問題なく作動しており、炉心溶融に発展する可能性はなかった」とコメントしている。

今回の事故を受け、オスカーシャム1、2号機が3日、点検のため運転を一時停止したが、SKIによると「SKIは停止命令を出しておらず、あくまでも事業者の自主的な点検対策」だという。


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