[原子力産業新聞] 2006年8月24日 第2344号 <1面>

安全委分科会 新耐震指針ようやく決着へ 事務局が修文案を提示

原子力安全委員会の耐震指針検討分科会(主査=青山博之・東京大学名誉教授)は22日、第47回会合を開催、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂案を審議(=写真)した。改訂案中の「基準地震動の策定」の項目における活断層調査に関連して委員間で意見が対立、意見公募終了後の審議は既に4回を数えているが、今回会合で事務局が修文案を提示。これを基に各委員の意見を集約した上、今月28日の次会合で最終案に至る見通しとなった。

改訂耐震設計審査指針案は、同分科会で4月に取りまとめられた後、その上層に位置する原子力安全指針・基準専門部会での審議・了承を経て、5、6月にかけて意見募集が行われた。現行指針からの最も特徴的な変更点は、基準地震動策定の考え方だが、改訂指針案の内容に直結しないコメントも含め計680件もの意見が寄せられた。

今月8日の前会合では、耐震設計上考慮する活断層の年代、島根発電所近傍の宍道断層に関する最近の調査結果などを巡って、石橋克彦・神戸大学都市安全研究センター教授を中心に委員間で議論となった。

今回提示された事務局案は、震源として想定する断層の評価に関する記述で、「内陸地殻内地震」を付すなど、文言の修正を施したほか、「耐震設計上の重要度分類」について、原案の「耐震クラスT、U、V」を、「構造設計における機器区分との混同を回避する」との公募意見を踏まえ、「S、B、Cクラス」と呼称を変更している。引続き活断層に関連して委員間で意見の対立があったが、事務局案に基づいて各委員からの意見を早急にとりまとめた上、次回28日の会合で「最終確認」を図ることとなった。

鈴木篤之・原子力安全委員長は、「耐震指針の改訂は1日も早くとの要望があり、国民の安全を最優先とする考えから、改訂指針をできるだけ早期に適用していきたい」と述べ、同分科会としての議論の決着を求めた。また今次指針改訂で反映されなかった意見は、実際の指針運用で留意事項とし、次回以降の改訂時に最新の知見として活用していく考えを表明した。指針は一般の関心も高いため、公募意見の審議記録も、報告書に続編として付される見通し。


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