[原子力産業新聞] 2006年9月14日 第2347号 <6面>

米国 スカルバレー施設 内務省が拒否権行使 PFS中間貯蔵計画に暗雲

米内務省は7日、スカルバレー使用済み燃料中間貯蔵施設建設計画に対し拒否権を行使した。中間貯蔵施設建設プロジェクトは法廷闘争に持ち込まれる可能性が高く、ますます先行きが見えない状態になっている。

同施設は、プライベート・フュエル・ストレージ社(PFS)がユタ州スカルバレーのゴシュート・インディアン居留区(ソルトレイクシティ南西約80km)で建設を計画し、1997年に米原子力規制委員会(NRC)に建設・操業認可を申請。今年2月にはNRCから認可を発給されている。ユッカマウンテン最終処分場が操業開始するまで合計約4万4,000トンの使用済み燃料が地上で中間貯蔵される計画だ。

今回内務省(インディアン局および土地管理局)は、@ゴシュート居留区とPFS社との土地リース契約Aスカルバレーとユニオン・パシフィック鉄道を繋ぐ輸送専用線(鉄道支線)の連邦政府所有地への建設――について、それぞれ@リース契約や中間貯蔵施設建設による経済効果を考慮しても、同居留区の健全な発展を妨げるリスクの方が大きいAテロ対策が不十分な上に、鉄道輸送専用線が自然保護区域に掛かっている――などとして拒否権を行使。またユッカマウンテン計画が依然として不透明であるとの認識を示し、スカルバレーが事実上の最終処分場になることに懸念を表明した。

しかし内務省は今回の意思決定にあたり、ゴシュート居留区からのヒアリングを一切行っていない。その上、リース契約を1997年に承認したのは、ほかならぬ内務省である。またスカルバレーへのアクセスを妨害するために、上院議員がスカルバレー隣接地域を自然保護区に組み込むなど強引な手法が目立ち、同居留区の不信感を高めている。

中間貯蔵施設を部族復活の起爆剤にしようと意気込む同居留区は、今回の決定を「内務省が政治的圧力に負けた結果」として強く反発し、法廷で争う姿勢を示している。

PFS社は、エクセル・エナジー社、ジェノア・フュエルテック社、アメリカン・エレクトリックパワー社、サザンカリフォルニア・エジソン社、サザン・ニュークリア社、ファースト・エナジー社、エンタジー社、フロリダ・パワー&ライト社の8電力会社が共同出資する有限責任事業組合(LLC)。計画の遅滞から昨年12月、エクセル・エナジー社、サザン・ニュークリア社、エンタジー社、フロリダ・パワー&ライト社の4社が追加投資の中止を決定している。


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