[原子力産業新聞] 2006年9月28日 第2349号 <1面>

安倍内閣発足 伊吹文科相、甘利経産相 「原子力をしっかり位置付け」経産相

自民党の安倍晋三総裁は26日の衆参両院本会議で第90代の首相に選ばれ同日、新内閣を発足させた。文部科学相に伊吹文明氏、経済産業相に甘利明氏を起用した。

伊吹文科相は同日初登庁後に会見、教育基本法の早期成立など、社会を支える「人作り」を第一に据えた今後の文部科学行政への抱負を述べた。具体的施策に関する質問に対し、「仏作って魂入れず」とならぬよう、人間育成とイノベーションの面から、安倍首相の目指す「美しい国創り」を実現するよう、様々な施策を推進していく考えを示した。

科学技術政策については、大学等での基礎研究を産学連携のシナジーで生産力につなげていくよう、多様な研究を効率的に進めていくことが大切な視点だと述べた。

伊吹文明(いぶき・ぶんめい)氏 38年生まれ。自民党衆議院議員(京都1区)。京都大学卒業後、大蔵省入省。83年衆院初当選、厚生政務次官、国家公安委員会委員長などを歴任。

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甘利経産相は同日、経産省で初会見に臨み、「経済産業政策は私のライフワーク、指名は光栄であり有難い。経済成長戦略が重要、イノベーションを通じ生産性を高めたい」と抱負を述べた。

エネルギー政策では、「原子力をしっかり位置付けることが重要」と明言。「私は原子力の未来を信じて推進してきた責任者。ようやく環境やエネルギー危機の面から原子力が再認識されるようになった」とした。また、「日本は核兵器保有国以外で唯一、再処理が認められている。原子力政策には紆余曲折があり、自民党の中でもコスト面から一時、再処理政策に反対があった。私はやがて再処理が有利になると訴えてきたが、ウラン価格が短期間で7倍になる中で、再処理の必要性は説得力をもってきた」と説明。「化石燃料の安定確保は大事だが、バーゲニングパワー、交渉手段を持つことが重要であり、準国産エネルギーの原子力を安全と信頼を勝取りながら進めたい」とした。

甘利明(あまり・あきら)氏 49年生まれ。自民党衆議院議員(神奈川県13区)。慶応大学卒業後、ソニー入社。83年衆議院初当選。党商工部会長、労働大臣、衆議院予算委員長などを歴任。超党派の資源エネルギー長期政策議員懇談会の会長を務めるなどエネルギー、原子力政策にも精通する。


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