[原子力産業新聞] 2006年9月28日 第2349号 <3面>

米デューク・エナジー社 「新設にはリスクヘッジ不可欠」

米国のデューク・エナジー社は20日、同社の計画する新規原子力発電所(ウィリアム・ステイツ・リーV)建設プロジェクトに関し、プロジェクト・コストの回収を認めるようノース・カロライナ州公益事業委員会に申し入れた。

これは、万が一プロジェクトが頓挫した場合でも、プロジェクトにかかったコストを将来の電気料金に上乗せして回収することを認めるよう求めたもので、プロジェクト・リスクを確実に回避し、バランス・シートの健全化をねらったもの。

デューク・エナジー社は「当社が原子力を加えた電源のベスト・ミックスを達成しているために、カロライナ・エリアの電気料金は全国レベルでも低い水準で保たれている」と説明。原子力発電開発への投資を継続するためにはリスクヘッジが不可欠として、理解を求めた。

サウスカロライナ州チェロキー郡に建設が計画されているウィリアム・ステイツ・リーV発電所は、ウェスチングハウス社製のAP1000×2基から構成される。デューク・エナジー社とサザン・カンパニーが共同所有者となり、デューク・エナジー社が単独で運転する計画だ。2008年に建設・運転一体認可(COL)の申請を予定しており、早ければ2016年にも初号機が運開する見通しとされている。

デューク・エナジー社は2007年末までにCOLを申請するかどうかの最終判断を下す予定で、1億2,500万ドルの予算を計上している。建設した場合、プロジェクトの総コストは40〜60億ドルに跳ね上がるが、運転収益により同コストの回収は確実視されている。

なお同社のJ.ロジャースCEOは、「プロジェクト・コストの回収が保証されない限り、新規建設に着手することはない」との見解を示している。


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