[原子力産業新聞] 2006年9月28日 第2349号 <4面>

エネ研が2030年を予測 世界の原子力5億kWに

日本エネルギー経済研究所は20日、アジアに重点を置き、2030年の長期的視点で世界のエネルギー需給を分析した「アジア/世界エネルギーアウトルック2006」を発表した。世界の原子力発電設備容量は30年に現在の約30%増、約5億kWに増加するが、アジアでは約1億1,000万kWが新規に建設され、世界の原子力拡大の拠点となるとしている。

報告書は30年に世界の1次エネルギー消費が現在の1.6倍、アジアでは2倍になり、発電量は世界で1.9倍の33兆6,630億kWh、アジアで2.5倍の13兆1,910億kWhに増加すると予測。

世界の発電構成では天然ガス火力が現在の20%から28%に、石炭火力が40%から41%に拡大するが、原子力は16%から10%に低下するとする。エネルギーセキュリティや地球温暖化対策の観点からアジアを中心に原子力の新規着工が見込まれるが、世界的な電力需要の増加を補うほどの拡大が見込めないとしているため。

世界の原子力発電の設備容量は、現在の3億8,500万kWから4億9,900万kWに、アジアでは同じく8,200万kWから1億9,900万kWに拡大。アジアが大きく伸びるのに対し、欧州OECDは合計で3,000万kW減少と予測する。

アジアでは中国が約7倍の5,000万kW、インドが10倍の3,200万kW、韓国が1.7倍の3,000万kW、日本は1.4倍の6,600万kWになるとしている。こうした急速な設備容量の増大に伴い、05年から30年までの原子力累積投資額はアジア全体で26兆円、このうち中国が10兆円、インド7兆円、韓国3兆円、日本は4兆円としている。


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