[原子力産業新聞] 2006年9月28日 第2349号 <4面>

外務省が学生討論会 「核不拡散と平和利用」 聖心女子大チームが優勝

外務省は22日午後、東京都港区の三田共用会議所で「核不拡散と原子力協力」などをテーマに、立論能力などを競う学生討論会を開催し、聖心女子大学チーム(=写真)が優勝した。

正式な論題は「核兵器不拡散条約(NPT)上の『核兵器国』以外で核兵器を保有し、もしくは新たに核兵器の開発を試みる国家に対するいかなる原子力協力にも、日本は反対すべきである」、「政府は大幅な財政赤字を抱え、厳しい歳出削減が求められているが、国際社会における日本の地位にかんがみ、これ以上ODA(政府開発援助)は削減すべきでない」――の2題。

同条約上の『核兵器国』は米英仏露中の5か国を指し、これ以外の核保有国としてのインドのほか、核兵器開発をめざしている可能性が疑われている北朝鮮、イランなどがあり、最近米国はNPT未加盟のインドに対して原子力平和利用分野で積極的な協力に踏み出そうとしている背景がある。

外務省はホームページなどを通じて参加募集を行い、書類選考を行って、上位4チーム(1チーム3名)を選定。第1試合は、ODAを論題に早稲田大学対東京大学大学院、聖心女子大学対慶応義塾大学の4チームが対戦した。

討論形式は、2論題と肯定側・否定側のどちらになるかは学生達も当日にしか分からずに準備を進め、口頭のみで1試合約45分、論戦した。

決勝戦は、聖心と早大の対戦になり、「核不拡散と原子力協力」の論題で聖心が論題肯定側(協力反対)、早大が論題否定側(協力推進)として論陣を張った。

聖心チームは、NPT加盟国と非加盟国に分けて整理し、保障措置申告制の問題、NPT脱退後の核保有の可能性などを指摘、一方、非加盟国への協力はNPTを空洞化させるもの、さらに第3国や非政府組織への機器・技術流出の可能性などを列挙。「協力することで結果的に核不拡散体制の強化につながるとの論があるが、不確実でリスクの方が大きい」と主張した。

協力推進の必要性を展開した早大チームは、NPT上の一定条件下における原子力開発利用の「権利」に留意すべきであり、@協力を通じて核不拡散体制の強化につなげることができるA石油価格の安定や地球温暖化対策に寄与B協力は世界トップクラスの技術を持つ日本として当然、産業界の役割は大きく、政府も積極的に支援すべき――などと強調した。

論戦の最後に、聖心は「核不拡散こそが、世界のみならず日本の国益」と主張し、早大は「世界経済の安定が、日本の安定につながる」と締めくくった。

審査員は高島肇久・外務省参与、古川佑子・大学評価・学位授与機構客員教授、下村郁夫・政策研究大学院大学教授の3名が務めた。


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