[原子力産業新聞] 2006年9月28日 第2349号 <4面>

理研がSLAC等と共同開発 XFEL用スペクトロメータ

理化学研究所、高輝度光科学研究センター(JASRI)、米国・スタンフォード線形加速器センター(SLAC)はこのほど、大阪大学大学院、米国・ローレンス・バークレイ国立研究所と共同により、世界で初めてX線自由電子レーザー(XFEL)用のスペクトロメータを開発した。

XFELは、原子間隔と同等の約0.1nmの波長、SPring―8の10億倍という瞬間強度の光を発振するが、開発を進める上で、この光のスペクトル(波長)計測技術が必要。しかし、従来のスペクトロメータでは、XFELのような光を正確に計測することは困難だった。

今回の計測装置は、入射角1度以下でX線を全反射させる高精度X線ミラーと、特定条件を満たした場合のみ強い反射が起きるブラッグ反射用の光学素子を組合せた。X線ミラーが入射光を集束・発散した後、シリコン完全結晶の光学素子によりブラッグ反射、この反射光の空間プロファイルをX線カメラで記録する。SPring―8の波長0.12nmのX線を用いた計測では、分解能13.1meVと従来の分解能を2桁上回る性能を確認した。

このX線ミラーは大阪大学の山内和人教授らが独自に開発し、最高水準の形状精度を有する。


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