[原子力産業新聞] 2006年10月5日 第2350号 <3面>

ドイツ ビブリスAを対象残余電力量移転を申し入れ

独RWEパワー社は9月26日、早期閉鎖されたミュルハイム・ケールリッヒ原子力発電所の残余電力量のうち、300億kWhをビブリスA原子力発電所に移転することを、連邦環境省および関係当局に申し入れた。

ビブリスA(PWR、122万5,000kW)は現状では2008年半ばに運転期限を迎えるが、今回申し入れた残余電力量の移転が承認されれば、2011年末まで運転を継続することが可能となる。

2000年6月、連邦政府と国内4大電力(RWE、VEBA、VIAG、EnBW)は原子力発電所の発電電力量の設定で合意。原子力発電所の通常運転期間(運転停止期間は除く)を送電開始から32年とした上で、これまでの運転実績をベースに、2000年以降の原子力発電電力量を国内合計で約2兆6,000億kWhと設定し、各発電所に割り当てられた発電電力量の移転・譲渡も可能とした。

当時、訴訟により運転休止中だったRWE所有のミュルハイム・ケールリッヒ発電所(PWR、130万2,000kW)は、即時閉鎖および訴訟取り下げを条件に、1,072億5,000万kWhの残余電力量が割り当てられた。この残余電力量は、同じく同社所有のエムスラント発電所、グンドレミンゲンB、C発電所への移転、あるいは他電力の発電所への譲渡が認められている。しかしビブリスA、B発電所(=写真)は運開時期が比較的古いため、連邦政府は、ビブリスBにのみ214億5,000万kWh(ミュルハイム・ケールリッヒ発電所の残余電力量の20%)を上限とした移転を認めたものの、ビブリスAは移転対象として認めていなかった。

今回RWEパワー社が300億kWhの移転を申請したのは、同一サイトのツインユニットであるビブリスAとビブリスBの運転期間を同期させるため。

同社は、ビブリスBに上限一杯の214億5,000万kWh分を移転させて2011年末まで運転する予定であり、「ビブリスAの安全性は保証されており、Aの運転期間もBと同じく2011年末まで延長させた方が合理的」と判断したようだ。

また同社のJ.ツィリウス会長は、世界的な原子力ルネサンス、温暖化防止、電源のベストミックス、エネルギー安全保障などにおける原子力の役割に言及し、「今回の申し入れが、連邦政府のエネルギー政策見直しの契機になるのでは」との期待感を示している。


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