[原子力産業新聞] 2006年10月12日 第2351号 <3面>

フィンランド 6基目の原子力発電所建設を勧告 「設備容量拡大を」

フィンランドで3日、同国6基目となる原子力発電所の新規建設を勧告する報告書が発表された。報告書は同国の電力市場の改善について検討したもので、貿易産業省の委託により取りまとめられた。

報告書は「北欧電力市場(ノルド・プール)は健全に機能しているが、国内面で改善の余地がある」として、国内の発電設備容量の拡大を主張。建設中のオルキルオト3号機(=写真 EPR、170万kW)に続く原子力発電所を、早急に建設することを勧告した。

また報告書は、国営電力会社フォータム社が民間の電力会社であるテオリスーデン・ボイマ社(TVO)の株式(51%)を所有している点を問題視。フォータム社に対し、TVO株の売却を勧告した。

北欧電力市場におけるフォータム社の支配力があまりにも大きいため、競争法および反トラスト法などの観点から問題と判断されたようだ。(フォータム社はスウェーデンのオスカーシャム発電所やフォルスマルク発電所の株式も所有している。)

これを受けM.ペッカリネン貿易産業相は、「政府はエネルギー安全保障のために、あらゆる選択肢を検討する」としながらも、6基目の新規建設に向けた準備作業については「産業界が判断すること」と述べるに留めた。一方、フォータム社関連の施策については、「政府負担が増大する上に法制上の問題点も多い。効果にも疑問が残る」と、懐疑的な姿勢を示した。


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