[原子力産業新聞] 2006年10月19日 第2352号 <3面>

電力集約型産業からは不満も

一方、欧州最大の銅精錬企業ノルトドイッチェ・アフィネリー社のW.マルネッテ会長は、「サミットは、電力業界が不当な利益を上げている問題を取り上げなかった」と不満を隠さない。

マルネッテ会長は、「電力会社はCO2排出証書に絡んだ経費を不当に算出し、電力価格に課金している」と指摘。「サミットで問題を提起し、早急に是正すべきだった」と失望を表した。

欧州連合(EU)は昨年1月より排出権取引を開始しているが、第1取引期間(2005〜2007年)においては、排出枠分の排出証書は無償で交付されている。

しかしドイツの電力会社は、市場で取り引きされる排出証書の価格に相当する額を経費として電力価格に上乗せし、業界全体で「年間50億ユーロもの不当利益を上げている」(マルネッテ会長)という。

ドイツの電力価格は1998年の電力市場自由化当初こそ低下したものの、その後は上昇傾向にあり、国内の電力集約型産業は負担増にあえいでいる。

また、ドイツの電力会社(RWE、E・on、EnBW、バッテンフォール・ヨーロッパ)が、海外での事業展開に強い意欲を示しており(特にバッテンフォールは外資系企業)、国内で得た収益を国内に再投資しないことに対する不満も大きい。

 

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