[原子力産業新聞] 2006年10月26日 第2353号 <1面>

日本原子力産業協会 原子力産業安全憲章を制定 「安全確保をすべてに優先」など5か条

日本原子力産業協会は23日、同協会の会員会社等が原子力関連の事業に携わる上で、常に心しなければならない理念として、「原子力産業安全憲章」を取りまとめ、今井敬会長が同日発表の記者会見を行った。安全憲章は同会長の強いリーダーシップの下で実現したもので、同会長は「気持ちとしては、絶対に事故を起こさない、と言う決意が必要だ」と述べた。

憲章では前文で、原子力はエネルギーの安定供給や地球環境保全など豊な社会実現に必要不可欠であるものの、潜在的危険性もあることを明示し、そのため「安全確保が大前提」としている。

また、この憲章が「原子力産業に携わる者一人ひとりの行動の指針」であること、各組織のトップが主導し現場第一線まで浸透させてもらう必要があることなどを指摘し、「自主的かつ継続的な取組み」を会員各企業等に求めている。

本文は5か条からなり、できるだけ平易で簡潔に記述し、左の通り。

各条項には、憲章を実行するに当たっての簡明な解説もつけている。

憲章について説明した服部拓也・原産協会副会長は、「原子力産業界全体としてつくり、いかに現場に定着させていくかが重要だと考える。日々、根付くような活動としていきたい」と語った。

【第1条】いかなる状況にあっても、責任感と使命感をもち、安全確保をすべてに優先させる。
  【第2条】過去の失敗事例に謙虚に学び、安全情報の共有により安全対策の徹底を図る。
  【第3条】不安全と感じたことをいつでも話し合える、風通しのよい職場環境づくりにつとめる。
  【第4条】良好な安全実績にも慢心することなく、常に「問いかける姿勢」を持ち続ける。
  【第5条】広く社会の声に誠実に耳を傾けるとともに、マイナス情報も積極的に公開する。


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