[原子力産業新聞] 2006年10月26日 第2353号 <1面>

三菱重工とアレバが提携 100万kW級プラントを共同開発

三菱重工業と仏・アレバ社は19日、原子力分野の提携で合意し、覚書に調印した。まず第3世代の100万kW級プラントを共同開発、将来的に資材調達、保守サービス、燃料サイクル、新型炉開発などの協力も検討する。三菱重工の佃和夫社長は、「現時点でウェスチングハウス(WH)とのクロスライセンスも存在するが、今後はアレバとの提携を第一義的に考える」との方針を示した。

覚書は佃社長とアレバのアンヌ・ロベルジョン会長(=写真左)が調印、両氏は同日、東京の三菱重工本社で会見した。

ロベルジョン会長は今回の提携について、「今後、25年程度の間に世界で150〜200基の原子力発電所が新設される見通しだが、特に100万kW級の中型炉市場が大きく伸びる。共同開発により、短期間で価格的にも魅力のある最新鋭の中型炉を提供する」とした。

佃社長は、「100万kW級へのニーズは高まっており、両社の優れたPWRリソースを投入し、早期に製品化したい。アレバがフィンランドに建設中のEPRに当社が原子炉容器を供給するなど、両社はこれまでも業務関係があったが、企業文化も似たところがあり、提携関係の新しい分野への発展が楽しみ」とした。

また、「原子力事業はグローバル展開で大きな成長が見込める時期に入った。当社はWHの買収、BWRメーカーを含む他社との提携、単独展開などの選択肢を検討したが、グローバル展開を進める上で、存在感のある企業との提携が必要と判断した」と述べた。

両社は150万kW超の大型炉はそれぞれAPWR、EPRを展開中だが、これらは当面、プロジェクト毎に協力関係を検討しながら対応するとしている。

WHとの関係について、佃社長は、「現時点でWHとライセンス契約が存在するが、今後、AP1000への対応はケースバイケースになる。例えば、WHがAP1000を受注し、当社に機器を発注するということであれば、当社はその経済性を評価し対応を決める」と述べた。

中国でWHなどとAP1000を共同入札している件では、「当社は商談を見守る立場になった」とした。


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