[原子力産業新聞] 2006年10月26日 第2353号 <5面>

カナダ シガーレイク鉱山、操業延期 落盤事故で全地下区画が浸水

加カメコ社は23日、開発中のシガーレイク鉱山(サスカチュワン州)で発生した落盤事故の影響で、全地下区画が浸水したと発表した。坑内の作業員は無事に避難し、周辺への環境影響もない。操業開始スケジュールおよび、追加コストなどの見通しは立っていない。

落盤事故は22日の午後1時10分に「プロダクション・エリア」で発生した。坑道内に大量の水が流れ込んだため、カメコ社は同日午後8時45分、浸水した「プロダクション・エリア」の隔離を決定。翌23日の午前5時に「プロセス・エリア」へ通じる2か所の遮断扉を閉鎖した。

しかし1か所の遮断扉が適切に閉鎖されておらず、浸水区画の遮断に失敗。浸水速度は700〜800立方m/時で、排水ポンプの許容量である約500立方m/時を超過。最終的に、地下坑道への唯一のアクセスである1号立坑も合わせ、全地下区画が浸水した。

カメコ社は現在、地下坑道へのアクセスなど復旧策を検討している。

シガーレイク鉱山は、ウラン鉱石中のウラン重量含有率19%、埋蔵量約13万6,000トンUの、世界有数の大規模高品位ウラン鉱床。地下約440メートルに存在するウラン鉱体から、ジェット・ボーリング法で採掘する。フル生産時には年間約6,900トンUのウランを生産する計画だ。

権益比率は、カメコ社=50%、仏アレバ社=37%、出光興産=8%、東京電力=5%で、カメコ社が操業を担当している。

全地下区画が浸水したことで、2008年の部分操業開始を掲げた現行スケジュールは、否応なく数年単位で延期される見通しだ。またシガーレイク鉱山の操業延期は、ウラン市場にも少なからぬ影響を与えると見られている。


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