[原子力産業新聞] 2006年10月26日 第2353号 <5面>

米ノースカロライナ州 プロジェクト・コストの回収に難色

ウィリアム・ステイツ・リーV原子力発電所建設プロジェクトに関し、デューク・エナジー社がプロジェクト・コストの回収を認めるよう求めている問題で、ノースカロライナ州から反発が強まっている。

これはデューク・エナジー社が先月20日、1億2,500万ドルのプロジェクト・コストの回収を認めるようノースカロライナ州公益事業委員会に申し入れたことが発端だ。

同社は、「自社電源に原子力を加えたベスト・ミックスを達成しているために、カロライナ・エリアの電気料金は全国レベルでも低い水準に保たれている」と説明。原子力発電開発への投資を継続するためにはリスクヘッジが不可欠として、たとえプロジェクトが頓挫した場合でも、プロジェクトにかかったコストを将来の電気料金に上乗せすることを認めるよう求めた。

しかし公益事業委員会の公共局は、「市民の理解を得られるとは思えない」と、建設が頓挫した原子力発電所のコストを電気料金に上乗せすることに当惑を隠さない。

同州司法局も、「州法では、稼働中の発電設備に関してのみ、電気料金への上乗せを認めている」と難色を示している。

また、新規原子力発電所の是非を論議する公聴会を開く前に、デューク・エナジー社が一方的に料金の引き上げを要求したことも、反発を呼んだようだ。現地紙の報道によると、「プロジェクト・コストの回収の次は、建設コストの回収を要求するのでは」との憶測も出ているという。

同発電所は、ノースカロライナ州に隣接するサウスカロライナ州チェロキー郡に建設が計画されており、ウェスチングハウス社製のAP1000×2基から構成される。


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