[原子力産業新聞] 2006年11月9日 第2355号 <3面>

ロシア 原子力産業複合体設立法案 年内に下院を通過 アトムプロム社発足へ

「原子力産業複合体開発プログラム」を先月閣議決定したロシアで、アトムプロム社設立法案が、年内に下院を通過する予定であることが明らかになった。

これは下院エネルギー・運輸・通信委員会原子力部会のV.オペクノフ委員長が明らかにしたもので、同委員長は3日、「順調に進めば、年内に設立法案が下院で成立する」との見通しを語った。現在は同委員会が法案に対するコメントをとりまとめ、部分的な修正を検討している段階だ。残る課題は、既存の規制体制や許認可システムとの整合性を取ることぐらいだという。

新たに設立されるアトムプロム社は、100%国営の持ち株会社で、ウラン鉱山開発・燃料加工・発電・機器製造から核燃料サイクルに至るまで、民生用のすべての原子力施設を所有・運転する。ロスエネルゴアトム社、TVEL社、TENEX社なども、アトムプロム社の傘下に入る。これにより、ロシアの原子力産業界が、軍事用と民生用に明確に線引きされる。また民生用原子力関連輸出がロシア原子力部門の収益の90%を占めているため、民生用原子力部門を統合することで国内企業間での不要な衝突を避け、仏アレバ社など世界的な原子力産業グループに対し、競争力を高めるねらいもある。

上流部門に関してロシアは、2015年までに自国のウラン需要の60〜70%を自国内で採掘し、残りをカザフスタンなど旧ソ連邦各国から、共同事業体(JV)を通して手当てする計画だ。

すでにロシアとカザフスタンは先月、カザフスタン国内ウラン鉱山の開発などでJVを設立することを取り決めており、12月初旬にも試験採掘が開始される見通しである。

「原子力産業複合体開発プログラム」によると、国内での原子力発電開発に関しては、2007〜2015年にかけて10基(計980万kW)が運開し、10基(計1,000万kW)が建設中となる見込みだ。キリエンコ長官は「今後30年で3億kWの新規原子力発電設備容量が必要」との見解を示している。


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