[原子力産業新聞] 2006年11月9日 第2355号 <4面>

ラブロック博士 地球の怒り「ガイアの復讐」 原子力発電の必要を強調

英国の地球生理学者ジェームズ・ラブロック博士がこのほど来日し、10月25日に東京で日本原子力文化振興財団主催のシンポジウム(=写真)で講演した。

地球を1つの生命体と考えた「ガイア理論」を提唱するラブロック博士は、昨今世界各地で頻発する異常気象は、人類が自分たちの生活をよくするため、地球を痛めつけてきたことへの報復、即ち「ガイアの復讐」だという。

世界の人口増に伴い、エネルギーの消費量が飛躍的に増加、温室効果ガスの排出量も増え、結果として地球の気温は上昇した。このまま地球が現在より5度C暑くなると、アフリカ大陸はほとんど砂漠と化し、南極を除く他の4大陸でも森林地帯が激減するというスライドを示して、ラブロック博士は警告する。

科学者として、「未来には確実性はなく、あるのは可能性」と述べ、科学を適切に利用することで対抗すべきだという。もはや再生可能エネルギーの開発ではすでに遅く、発電過程でCO2を排出せず環境に優しい原子力発電を最大限利用することをラブロック博士は力説した。

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ジェームズ・ラブロック氏 1919年生まれ。環境のノーベル賞と呼ばれる旭硝子財団「ブループラネット賞」を97年に受賞。著書「ガイアの復讐」(竹村健一訳)が中央公論社より発売中。


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