[原子力産業新聞] 2006年11月16日 第2356号 <1面>

日立、GEが世界戦略提携 日米に合弁新会社を設立 両社とも原子力事業を分離へ

日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)社は13日、BWR主力の原子力事業を強化するため、世界的な戦略提携に関する意向書を締結した。両社は、ともに原子力事業部門を分離し、日本と米国に原子力発電所の建設や保守・サービスを行う合弁の新会社を設立、これを一体的に運営する。東芝は新会社に参画していないが、GEは東芝との関係に関し、ESBWRの共同設計など現行関係は維持するとした。

日立の原子力事業部門が分離して発足する日本の新会社は日立約80%、GE約20%の出資比率、GEの原子力事業部門が分離して発足する米国の新会社は日立40%、GE60%の出資比率。両新会社の設立方法や運営方法などの詳細は今後協議し、来年上期中には最終契約を予定している。

日立の同部門は約2,000人の陣容で年間売上約1,600億円、GEは同じく約1,500人で約1,200億円。両新会社はこの事業規模をベースに発足することになる。日本市場は日本の新会社、日本以外の全ての市場は米国の新会社が担当する。今後、次世代原子炉の開発も日本を軸に両新会社が担当するが、原子燃料事業は今回の提携の対象外としている。

日立の古川一夫社長は、提携について、「米国の新会社への出資比率は日立のグローバル市場への取組みに対するコミットメント。原子力プラント市場は世界的にホットな状況であり、事業戦略を共有化することでBWR事業を拡大できると判断した。米国では20年までに25基程度の新設が予定されているが、このうち少なくとも3分の1程度は獲得したい」とした。

GEエナジー原子力事業部門のルドルフ・ビラ・アジア担当プレジデントは、「両社の原子力事業にとって素晴らしい一歩であり、新機種を開発し、市場でのポジションを高めたい。GEは近い将来、正式契約することを望んでいる」と述べた。

東芝との関係に関しビラ氏は、「東芝との合弁会社をアレンジするつもりはないが、東芝はABWRのサプライヤーであり、ESBWRの設計を中心とする提携関係において、GEは東芝に今後数年間、様々な義務を負っている。これは変わらない」とするとともに、「将来的には日立との密接な事業推進を考えている」と述べた。また同氏は、「三菱重工業と原子力分野で何らかの協力関係を築くことで合意した事実はない」とした。

原子力ルネッサンスを背景に、このところ世界的な原子力プラントメーカーの再編が急速に進んでおり、三菱重工―アレバ、東芝―WH、日立―GEという枠組みになりつつある。


Copyright (C) 2006 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.