[原子力産業新聞] 2006年11月23日 第2357号 <1面>

ITER 7極が正式署名 一大国際事業、始動へ 日欧プロジェクトも仮署名

国際熱核融合実験炉(ITER)協定への署名が21日、パリで、同計画に参加する日本、EU、ロシア、米国、中国、韓国、インドにより執り行われた。同協定は、ITER計画の実施主体となるITER機構の設立と、その参加7極の貢献等について定めるもの。各極の批准書寄託から30日後に協定は発効し、機構設立となる運びだ。協定発効後10年間は脱退できないことになっていることから、今回署名により、建設費約6,000億円のITER建設、運転へと、今後30〜40年にわたる巨大国際共同プロジェクトの出発点に各極が正式に出揃った。「幅広いアプローチ」についても翌日、仮署名が行われた。

去る5月の閣僚級会合(ベルギー・ブリュッセル)でITER協定案への仮署名が行われており、今回の正式署名もこれとほぼ同じ内容。日本は岩屋毅・外務副大臣が署名した。

ITER機構には、代表者として機構長(任期5年)、その下に首席副機構長と、安全、科学技術など各分野を担当する副機構長が6名置かれ、運営については、年2回の理事会で事業計画承認、幹部職員任命、各種規則の決定を行う。機構長には、池田要・元科学技術庁科学審議官が内定している。

建設期10年間の費用分担は、EU45.5%、他6極が各9.1%、運転期20年間は、EU34%、日米が各13%、他4極が各10%など、各極の出資比率を始め、実験計画決定等に関わる投票加重率も協定で定められた。

日本政府でのITER協定承認については、次期通常国会の上程を目指しており、各極批准がそろい協定発効となるのは、来年になる見通しだ。

また、ITER協定署名に続き、日欧がITERと並行して補完的に取り組む「幅広いアプローチ」についても、運営、実施場所・期間などについて定める協定仮署名がEU本部(ブリュッセル)で、22日(現地時間)に行われた。ITER建設とほぼ並行して、@国際核融合エネルギー研究センターA国際核融合材料照射施設工学活動Bサテライト・トカマク――の各プロジェクトを日本国内で展開する。経費約920億円は日欧で折半、これと主に物納となるITER本体建設にかかるわが国分担額約540億円と合わせ、建設期の約10年間で、日本の負担は計1,000億円程度と見積もられる。


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