[原子力産業新聞] 2006年11月23日 第2357号 <3面>

米印原子力協定の発効に向け一歩 米下院に続き、上院も可決

米上院は16日、民生用原子力分野でのインドとの協力関係を推進する法案を、賛成85、反対12の圧倒的多数で可決した。同じ趣旨の法案は今年7月に下院を通過しており、年内には両院協議会で一本化され、ブッシュ大統領が署名して成立する見通しだ。

この法案は、核拡散防止条約(NPT)未加盟国への原子力関連技術や原子燃料の輸出を禁じた「1954年原子力法」から、インド向けの規制を除外するもの。昨年7月に米印首脳が合意した原子力協力が、ようやく米国内で承認されることになった。ただし実際に米国がインドへ原子力輸出を実施するためには、45か国からなる原子力供給国グループ(NSG)がガイドラインを改正し、インドを「輸出禁止対象の例外」として承認する必要がある。

また上院法案は、インドに対し「米印原子力協力の前提として、イランの核開発プログラムの抑制に努力する」よう求めるなど、米国の対イラン戦略にインドを巻き込む姿勢を露骨に示している。これはインド側にとって厄介であるだけでなく、両院協議会で条文の調整をする際に焦点となりそうだ。

ブッシュ政権は戦略的な米印関係構築の柱に原子力協力を据え、ITER計画やGEN−W計画などインドの原子力分野での国際社会への復帰を支援することを約束している。

インドは、民生用と軍事用の原子力施設・計画の分離、民生用施設の国際原子力機関(IAEA)への申告と保障措置の適用、保障措置追加議定書への加盟、核実験モラトリアムの実施、カットオフ条約成立への協力、再処理・濃縮技術の移転自粛などを約束。その見返りとして、米国から民生用原子力技術を輸入することを熱望している。


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