[原子力産業新聞] 2006年11月23日 第2357号 <3面>

米国初の炭素税を導入へ 住民投票で可決 ボールダー市

コロラド州のボールダー市は14日に住民投票を実施し、炭素税の導入を決定した。同市の電力のほとんどは石炭火力発電所から供給されているため、一般家庭や企業に、電気使用量に応じて課税される。

一般家庭では月平均1.33ドル、中規模ビルでは月平均33ドルの負担と試算されている。徴収は電力会社のエクセル・エナジー社が代行し、風力発電電力の購入契約を結んでいる場合、税は課されない。初年度の税収は86万ドルに達すると見込まれており、省エネ教育や再生可能エネルギーの支援などに使用される予定だ。

同市はコロラド大学が立地し、人口は9万2,000人。リベラルな気風で有名で、環境運動も歴史的に盛んである。炭素税の導入についても特に組織だった反対行動はなく、商工会議所も導入を推進していた。

米国では最近多くの自治体で、省エネ支援や再生可能エネルギー促進プログラムのために特別料金を課しており、電力会社が電気料金を引き上げているケースもある。しかし今回のように炭素税として明確に導入したのは米国初である。

こうした動きが今後米国内で広がって行くかどうかの判断は難しい。今回のボールダー市は原子力発電所からの電力が供給されていないが、原子力発電が絡むと、電気使用料に応じた消費者への一律課税は説得力を失う。欧州では「炭素税」や「気候変動税」と命名しながらも、原子力発電所の発電量に対して課税しているケースもあり、問題となっている。


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