[原子力産業新聞] 2006年12月7日 第2359号 <3面>

ロシアが浮遊型発電所 2015年までに7基建設へ

ロスエネルゴアトム社のS.クリソフ副総裁は11月23日、白海沿岸のセベロドビンスク市(アルハンゲリスク州)に建設予定の、世界初となる海上浮遊型原子力発電所(FNPP)について、プロジェクトが順調に進んでおり、詳細設計が完成に近づいていることを明らかにした。

FNPPはセブマッシュ・プリドプリヤチェ造船所が主契約者となり、設計をアトムエネルゴ社が担当。原子炉系統を実験機械製造設計局(OKBM)、タービンをカルーガ・タービン工場が供給する。

FNPPは、燃料不足に苦しむロシア北部などの電熱供給源として活用されると見られている。また遠隔地電源や、海水脱塩用(日量24万立方mの淡水製造も可能)として、海外輸出も期待されている。

副総裁は、チリ、ベトナム、オーストラリア、中国、韓国、インドネシア、サウジアラビアからFNPPへの関心が寄せられていると語り、交渉を進めるためにもFNPPの早期実証が望まれると強調。「現在は建設の準備段階だが、来年4月には着工し、2010年の運開を目指す」とのスケジュールを掲げた。すでにセブマッシュ造船所に建設資金の50%が供給されているという。

プロジェクトの総費用は約91億ルーブル(約3億4,000万ドル)と見積もられているが、8年以内に全額が回収可能と試算されている。

またロスエネルゴアトム社は、国内数地点でFNPPの建設を計画しており、「2015年までにセベロドビンスクを含め7基のFNPPを建設する」(同副総裁)との強い意欲を示している。

なおOKBMは11月28日、蒸気発生器(SG)の製造をバルト工場に委託した。

FNPPは2基の舶用炉KLT40Sを搭載するが、SGは各4基ずつ設置される。バルト工場では来年前半にも製造を開始し、同年後半〜2008年10月にかけて全基を納品する計画だ。同工場は舶用炉用SGを製造するロシア唯一の企業体である。


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