[原子力産業新聞] 2006年12月14日 第2360号 <3面>

ベルギー エネルギー省が予備報告書 脱原子力政策の見直しを勧告

ベルギーのエネルギー省は11月17日、同国の2030年までの長期エネルギー政策を検討した予備報告書を発表し、現行の脱原子力政策の見直しを勧告した。今後専門家および調査委員会が検討を加え、最終報告書を来年6月にとりまとめる予定だ。

予備報告書は科学者、経済学者、エネルギー専門家からなる第3者機関によりとりまとめられたもので、2003年にエネルギー省の委託により着手された。エネルギー安全保障や気候変動の防止策などに焦点を当て原子力なしではコストが高く、ベルギーの経済力を損ねると結論。原子力オプションを堅持し、脱原子力政策を見直すよう勧告した。そのほかには、@エネルギー効率の向上Aエネルギー源の多様化B再生可能エネルギーの利用拡大――なども勧告し、COの回収・固定や、風力発電の新設、エネルギー研究への予算割り当て拡大を明記している。

ベルギーでは、現在7基(合計出力=605万kW)の原子力発電所が運転中。2003年1月に成立した脱原子力法では、電力供給に支障が生じる場合は原子力発電所を早期閉鎖しないとの条件付きで、@原子力発電所の運転期間を40年に限定A新規建設の禁止――が定められた。運転中の7基のうち、2015年のドール1号機を皮切りに、2025年には最後のチアンジュ3号機が閉鎖されることになっている。


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