[原子力産業新聞] 2007年1月5日 第2361号 <2面>

粒子線がん治療施設普及へ 文科省等が報告

文部科学省、放射線医学総合研究所、群馬大学は12月19日の原子力委員会定例会議に粒子線がん治療施設について報告し、現在、建設中も含め国内で14か所の設置計画・構想があることなどを示した。

粒子線がん治療装置には、適用範囲が広いものの高価格の重粒子線、ある程度適用範囲が限られるものの低価格の陽子線があり、現在、重粒子線を設置しているのは放医研と兵庫県立粒子線治療センター(陽子線も併設)。陽子線は国立がんセンター、静岡県立静岡がんセンター、筑波大学、多目的研究設備として若狭湾エネルギー研究センターの4か所が設置している。

設置に向けた動きは全国で活発になっており、今年度は群馬大学の技術実証用重粒子線小型普及機をはじめ、陽子線で福井県、福島県・南東北病院が建設を開始。建設計画や構想は重粒子線(一部陽子線併設も含む)で山形、宮城、新潟、神奈川、愛知、大阪、広島、福岡、鹿児島、沖縄の10か所、陽子線は茨城で浮上している。

群馬大学の小型普及機は放医研のHIMACに比べ価格、設置スペースともに約3分の1。同機の実証により、カタログ機として全国的な設置が期待されるが、放医研は重粒子線治療を必要とする患者は全国で現在約3万人で、同装置が30機程度は必要と説明した。


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