[原子力産業新聞] 2007年1月11日 第2362号 <3面>

フィンランド ロシアとの国際連携線計画を却下 供給安定性を懸念

フィンランドの貿易産業省は12月19日、ユナイテッド・パワー社(UP)が申請していたロシア・フィンランド間の送電線建設計画を、「ロシア側の供給安定性に疑問が残る」などとして却下した。

UP社は2004年5月、ロシアとフィンランド間に全長150km、送電容量100万kWの海底ケーブルを敷設する計画を貿易産業省に提出。貿易産業省の委託を受けた外部機関のレビューは、「完成すれば露レニングラード原子力発電所の安価な電力が直送され、フィンランド国内の電力価格が3〜9%下落。年間1億〜3億ユーロが節約される計算になる」と指摘していた。

また北欧電力市場(ノルド・プール)は需給の逼迫が予想されており、発電設備の増設と電力輸入の拡大が急務とされている。フィンランドにとってもロシアとの国際連携線は魅力的だったはずだ。

しかし貿易産業省は、「国際連携線は供給安定性が保障される必要がある」として供給安定性に疑問を投げかけた。また安易な電力輸入は、フィンランドの電力自給率(現在34%)がさらに低下するとし、「エネルギー安全保障の観点からも不適」とした。そして、フィンランド国内の発電設備の増設が進捗せず、ロシアの供給安定性が保障された場合に、改めて国際連携線建設計画を検討するとしている。


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