[原子力産業新聞] 2007年1月25日 第2364号 <1面>

理研RIBFがファーストビーム 世界初の超伝導リングサイクロトロン

理化学研究所はRIビームファクトリー(RIBF)計画で超伝導リングサイクロトロン(=写真)の建設を進めてきたが、このほどファーストビームの取出しに成功した。アルミニウムイオンビームを光速の70%相当の核子当たり345MeVに加速、多段加速システムの確かさを実証した。

RIBF計画は、既設の重イオン加速システムに、固定加速周波数型、中間段、超伝導という3基のリングサイクロトロンや超伝導RIビーム分離生成装置など付加し、水素からウランまで世界最多の約4,000種類のRIビーム発生を目指す。中性子過剰核の高効率生成には、大強度ウランビームを核子当たり345MeV以上に加速する必要があり、熾烈な国際競争が展開されている。

加速実験では、ECRイオン源でアムミニウム27のイオンを生成、これを既設の重イオン加速システムで45MeVに、中間段と超伝導で345MeVに加速した。今回は中間段前段の固定加速周波数型を使用しないモードだが、ウラン加速には使用する。

超伝導リングサイクロトロンの建設は世界初で、そのビーム偏向能力は8テスラmと史上最強。6台の超伝導電磁石を有し総重量8,300トン。設計期間も含め完成までに12年を要した。

理研は今年度中にRIビーム発生系施設の建設を完了、来年度から10年度完成を目指し基幹実験設備を順次整備する。


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