[原子力産業新聞] 2007年1月25日 第2364号 <3面>

米国 温室効果ガス排出量削減法案 6電力がキャップ&トレード法案を支持

エンタジー、エクセロンなど6電力会社が17日、電力部門の温室効果ガス排出量削減法案を支持する姿勢を鮮明にした。この「電力部門キャップ&トレード法案」は、D.ファインスタイン上院議員(民主党、カルフォルニア州)が提案する法案で、地球温暖化対策として同議員が用意した5法案のうちの1つ。

同法案は、2011年、2015年の2段階で、それぞれ各電力会社の排出枠(排出上限)を定め、電力会社間で排出枠を売買することを認めるもの。第1段階となる二〇一一年には、2006年時点での排出量を基準とした排出枠を設定する。さらに2015年には第2段階として、2001年時点での排出量を基準とした排出枠に引き下げる。これにより現在予測されている電力部門の排出量を、2011年には6%削減、2015年には16%削減、2020年には25%削減することができるという。

米国において電力部門は、国内総排出量の33%を占める最大部門。米国では電力需要の伸びに伴い、電源開発が活発化しているが、火力発電を建設する電力会社は、他社から排出枠を購入する必要に迫られることになる。逆に原子力発電や風力発電を建設するのであれば、排出枠を新規に購入する必要はない。

今回同法案の支持を表明したのは、カルパイン社、エンタジー社、エクセロン社、フロリダ・パワー&ライト社、PG&E社、パブリック・サービス・エンタープライズ・グループ社の6電力会社。6社合計で全米電力市場の15%のシェアを占め、42州で事業を展開している。

6社の電源構成はいずれも石炭火力への依存度が低いため、「ライバル他社を不利にすることをねらっているだけ」との指摘もある。PG&E社のP.ダービーCEOはそうした側面があることも認めつつ、「今取り組まなければ、我々は温暖化対策に消極的と思われてしまう」と強調している。

なお、全米40州で事業展開する米国の石炭産業は影響力が強く、ブッシュ大統領および議会は、同法案に否定的だ。


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