[原子力産業新聞] 2007年1月25日 第2364号 <3面>

原産協会 ロシア講演会を開催 アトムプロム社の設立が課題

日本原子力産業協会は15日、東京・新橋の航空会館で「ロシアの原子力産業――挑戦、戦略、新しい機会」と題してロシアの電力・原子力産業講演会(=写真)を開催した。同協会の会員を中心に約100名が参加した。

キリューヒン・ロシア議会上院アドバイザー(ユーロシブエネルゴ社副社長)が「ロシアの発電部門におけるチャレンジ」、カリーニン総合戦略研究所副所長(国立モスクワ大学教授)が「ロシアの原子力戦略」、ペトロチェンコ・ロシア議会下院アドバイザー(ロシア・マシーンズ社取締役)が「規制ベースの変更――民間資本参加、国際協力、主要な立法イニシアティブ」と題して講演した。

キリューヒン氏は国内電力産業の改革では、@産業再編リストラA私有化B規制自由化C民間部門の投資促進――を図っており、06年4月から発電と送電の会社分離を行った、と説明した。

カリーニン氏は、原子力産業の進展では、@軍事利用と平和利用の分離A産業界の競争力強化Bロシア国内での年間200万〜300万kWの原子力発電所の建設と海外への輸出強化――を課題としていると述べた。

ペトロチェンコ氏は、既存原子力発電所の寿命延長やVVER1000の改良、一方でVVER1500やFBRの開発も進めるとした。原子力発電シェアを現在の16%から2030年には25%にアップすることを目標としている。

ロシアでは燃料サイクル、原子力発電所の運転・維持、原子力発電所の設計・製造を行う既存の各企業を垂直統合し、国営企業アトムプロムを創設することが決っており、この既存企業の統合が当面の最大の課題だと述べた。その上で、外国企業との積極的な関係を構築していきたいとした。

ただ同氏は、今年に国会議員選挙、来年に大統領選挙が予定されていることから、法案の内容や今後のスケジュールに影響がでるかもしれない、と付け加えた。


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