[原子力産業新聞] 2007年1月25日 第2364号 <4面>

三菱電機 粒子線がん治療装置事業を拡充 本格的な普及期迎える

三菱電機は粒子線がん治療装置の本格的な普及に対応し、同装置事業を一段と拡充する。すでに医療装置として世界で唯一、陽子線および陽子線/炭素線(重粒子線)兼用の2機種を商品化しているが、今回、群馬大学から受注した小型炭素線タイプを、10年頃に商品シリーズに加える方針。納入実績と機種拡充により、「最低でも年間1基のペースで受注したい」(原田俊治・原子力部次長)としており、今後、海外での受注活動も検討する。

同社は放射線医学総合研究所が94年に設置したHIMACの取纏幹事会社を務め、2000年には兵庫県立粒子線医療センターに陽子線/炭素線、01年には静岡県立静岡がんセンターに陽子線を納入。最近では治療開始予定が08年度の脳神経疾患研究所・南東北がん陽子線治療センター(仮称、福島県郡山市)から陽子線、同09年度の福井県陽子線がん治療施設(仮称、福井市)から陽子線を受注。さらに同09年度の群馬大学の小型炭素線も今月、受注が決定した。

放医研が開発したこの小型機は今後の炭素線タイプの普及を加速すると期待されているもので、群馬大学の治療実績を踏まえ、同社として3機種目の医療用具製造承認を申請する予定。

機種拡充とともに、電力システム製作所(神戸市)で昨年から同装置の設計体制や生産体制を強化しており、「設計、生産体制とも年間1基の受注に対応できる体制にした」(同)という。

粒子線がん治療装置は90年代後半の第1導入期以降、00年代前半はやや足踏み状態だったが、治療実績の積上げにより、ここにきて本格的普及期に入った。

「海外からも引合いが増えている。現在、国内向けだけで負荷が高い状況だが、将来的には海外向けも応える体制を整えたい」(同)としている。


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