[原子力産業新聞] 2007年2月1日 第2365号 <1面>

東洋町が初の正式応募 文献調査へまず一歩 高レベル地層処分 地元理解には本腰必要

原子力発電環境整備機構は1月26日、全国市町村を対象とした「高レベル放射性廃棄物最終処分場の設置可能性を調査する区域」の公募に対し、高知県東洋町(田嶋裕起町長)から25日付けで応募があったと発表した。応募書の正式受理はこれが全国でも初めて。今後、同機構では、同町の地質的条件の事前確認などの手続きを進め、同地点を盛り込んだ事業計画変更申請を経済産業大臣に提出して、認可を得られれば、約2年間の文献調査に入る。他地点の公募については今後も続ける。

処分実施主体として2000年に設立された同機構は、02年12月に処分施設の設置可能性を調査する区域の公募を開始したが、いくつかの首長が応募の意向を示したことはあるが、実現までには至っていなかった。

東洋町の田嶋町長は昨年3月にも応募していたことが今年に入って明らかになったが、そのときは正式受理の前に同町長の判断で応募は取り下げられていた。その後、同町では住民説明会などを開き、一定の周知が図られたとして再応募した。

今回の応募について、甘利明経産相は26日の記者会見で、「これからの話として町長は住民投票で判断すると言っており、その間に原子力全般に関する理解を進めるよう努力し、その上で町民に諮るということなので、きちんと筋が通っていると思う」と述べた。同町長は、文献調査のあとの概要調査が終了し、精密調査に入る前に住民投票を行う意向を示している。

橋本大二郎・高知県知事は25日の会見で、「こうした問題は最初の応募の段階から地元の理解、同意が必要だと思う。現在はない段階だと受け止めている」と述べ、現段階では原環機構、国は次の手続きに入るべきではないとする一方、地方財源が厳しいことについては理解できるとした上で、町長とも必要があれば意見交換していきたい、とした。

同町では、誘致反対派の住民団体などが町民約3,400人(有権者は約3,000人)のうち未成年者も含め約2,100人の反対署名を集めているが、田嶋町長は調査内容を理解したうえで冷静な判断を求めている。ただ、この反対署名の中には町議員(議長を含む定員10名)5名も含まれていることから、今後の進展にはかなりの紆余曲折が予想される。

東洋町は面積が約74平方km、北を徳島県に接し東は太平洋、サーフィンの名所でもある。


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